皆様こんにちは。リラ吉です。
インターネットを使うのが当たり前になった現在、私達は様々な情報を見つけることが出来るようになりました。
それにより便利な世の中になりましたが、同時に嘘の情報やフェイクニュースのようなものも増え、世界で起こったこと、起こっていること、起こりつつあることを理解するのは非常に難しく、何が真実・事実で、何が嘘なのかを知ることが難しくなっています。
そんな中、事実を知る方法の一つが「数字を見る」というものです。
もちろん改竄されていないという前提ですが、世界の真の姿を理解するに、信頼性のある数字は非常に役に立ちます。
では、数字はどんな真実を私たちに伝えてくれるのでしょうか?
今回の記事では、数字はどんな真実を私たちに伝えてくれているのか、様々な例を挙げて説明しているバーツラフ・シュミル (著), 栗木 さつき (翻訳), 熊谷 千寿 (翻訳)の本「Numbers Don’t Lie 世界のリアルは「数字」でつかめ!」の内容、感想を書きたいと思います。
この本は下記のような方におすすめです。
- 物事を数字で考えたいと思っている
- 数字を通して世界の真実をちょっと見てみたい
もし上記のように思っている方がおらっしゃいましたら、この記事がご参考になれば幸いです。
目次
内容
この本はタイトル通り数字は嘘をつかないと言う考え方から、数字がどんな真実を伝えているのかを説明するために、下記のような様々な例が書かれています。
- 子供が少なくなったらどうなるのか?
- 投資に対する最高のリターン
- 感染流行の規模を予測するのが難しい理由
- ギザのピラミッドは何人でつくったのか?
- 日本の将来への懸念
- 長寿国日本の食生活の秘訣
- 風力発電には化石燃料が必要
- 電気自動車は本当にクリーンか?
これらについて、どのようなことが書いてあるのかというと、例えば比較的有名な「風力発電には化石燃料が必要」という話では、出力5MWの風力タービンを作るには900トンの鋼鉄が必要と書かれています。
そもそも、鋼鉄を作るにはエネルギーが必要で、1トン当たり約35GJのエネルギーを消費して作られます。2030年までに運転開始予定の風力タービン用の鋼鉄を製造するには、6億トン以上の石炭に相当する化石燃料が必要で、風力タービンについているブレードを補強するグラスファイバーを製造するには1トンあたり170GJのエネルギーが必要になります。
2030年までに総出力2.5TWの風力タービンを作るとなると、9000万トン程度の石油が必要で、さらに定期的に潤滑油を交換しなければならないというようなことが書いてあります。
このほかにも多くの例が書かれており、合計すると、71の例が書かれています。
しかし、数字は嘘をつかないかもしれませんが、その数字がどんな真実を伝えているのかを判断する為には、物事を深く、同時に広く見なければなりませんとも著者は述べています。
信頼できる正確な数字でも、必ず多角的な視点から見て、絶対的な価値を評価する為に、相対的化や比較化という視点が必要になります。
また、疑いを持ち、用心を持つことも大切ですが、現代社会の複雑に絡み合う現実を把握する為にも、物事を数値化する努力を常にしていかなければならないでしょう。
個人的な感想・意見
読んでみて「この事実は知らなかった」「面白い・興味深い」と思いましたが、この本を読んだからといって、イノベーションを起こせるわけでもなく、仕事の生産性が向上するわけでもなく、数字に強くなって数学の点数が向上するわけでもないと正直感じました。
しかしながら、この本に書かれていることは知識として知っておいて損はないと思います。また、物事を数字で見ると自分の知らない側面が見えてきます。
話のネタにするのもよし、自分の知っている世界観や思い込みを更新するもよし、様々な使い方があると思います。
個人的な意見ではありますが、数字は嘘をつきません。しかし、数字を作る人が嘘を元に数字を作る、もしくは改竄する可能性はあります。
そういう意味で、疑いを持ち、多角的に見る必要があるという点には非常に共感が持てました。
また、フェイクニュースがあちこちにある今の時代において、数字を用いて何が真実で何が真実ではないのかはもちろんのこと、何に対する真実かを私達が判断することが重要であると感じました。
簡単な例を挙げると、新型コロナウィルスの死亡率は何%でしょうか?
日本における死亡率は厚生労働省のホームページに書いてありますが、それを計算するための分母、つまり感染者数とは何なのでしょうか?
ホームページには「陽性者数」と書かれています。つまり医療機関で陽性が確認された人です。
しかし、無症状のため、検査を受けていない人もいます。陰性と診断された後に症状が出たけど、以前に陰性と診断されたので、「感染していない」「風邪を引いただけ」と思って検査に行かなかった人もいるでしょう。
それらのことを考えると、陽性と診断されたら何%の確率で死に至るかは計算できても、感染したら何%の確率で死に至るのかの真実は計算不可能になります。
なので、この新型コロナウィルスの例では厚生労働省のホームページに書いてある数字は「陽性と診断された場合の死亡率」という点では真実を語っていて、「感染した際の死亡率」については真実を語っていないというわけです。
この新型コロナウィルスの例は改竄されていないという前提条件は必要ですが、数字が何に対する真実なのかを判断するのは難しくありません。しかし、世の中にはもっと判断の難しいものがたくさんあります。
よく「数字で考えろ」と言う方をよく見かけます。仕事をしている方でこのようなことを言われたことのある方、聞いたことのある方は多いかと思います。
私なりの意見では、世の中のことの多くは数字で考えるべきだと思います。しかし、数字で考える上で重要なことは、本書に近いことは書いてありますが、その数字に対して疑いを持ち、その数字は何を意味するのか、何の真実を語っているのか、またどの程度真実に近いかを判断する力だと感じました。
まとめ
以上が「Numbers Don’t Lie 世界のリアルは「数字」でつかめ!」の内容の要約・感想になります。
例が71もあるため、読みごたえがあり、さらにそれぞれの例が非常に面白く、新しいことが知れる本になっています。
数字を通して世界の真実をちょっと見てみたいという方はこの本を楽しめると思いますので、おすすめできます。
皆様がこのように考えているのであれば、ぜひこの本を手に取っていただけたらと思います。
今回は以上です。それではまた。
リラ吉